相続税対策

相続税への対策として、最初に思い浮かべることは、いかに納税額を減らすのかということかもしれません。先祖代々引き継いできた財産を少しでも多く残したいという気持ちの表れから、きっとそう考えることとなるのでしょう。

やはり、相続税は亡くなった人の所有していた財産に対して課税をするため、課税される財産の評価額をいかに抑えるかということが考えられます。

しかし、それだけでは対策が十分になされているとは言えません。なぜならば、本当に大切なことは、税額を抑えることだけではないのです。

相続への備え、対策として検討していく中で必要なことは、

  • もめないための対策
  • 納税資金の準備
  • 節税対策

と考えられます。

まず、対策を検討する前に行うことは以下のとおり。

  • 財産がどれだけ存在するのかを調べる
  • 相続人となる人が誰なのかを調べる
  • 相続税がいくらかかるのか計算をする
  • 現金で納税できるのか検討する

相続税対策は、残された時間に応じて検討を進めていくことも必要です。
余命の宣告を受けた人と、まだまだ若くご健在な人の対策は異なってくるものです。
また、相続税への対策を進めることができるのは認知症となる前までということも忘れずに、一日でも早く開始することが大切です。

多くの場合、女性の平均寿命の長さなどから、父親の相続の発生→母親の相続発生といった形でのみ検討されがちですが、人が亡くなる順番は勝手に決めることはできません。
そのため、相続の順番により相続税額が大きく違ってくることもあることを心に留めておく必要があります。そして、生活の状況の変化などに応じて相続への備えを見直していきましょう。

1. 親族間でもめないための対策

「うちは、財産がそんなにないから、もめるほどではないだろう」とか「我が家の子供たちはみんな仲良くやってきているから、大丈夫だ」と楽観的に考えることもあるかと思います。しかし、財産の多寡によりもめる、もめないなどは違いがありません。相続財産が、分けにくい財産などの場合には、もめることも多くなるのが実情です。

親族の間で相続をめぐってもめないためには、生前に遺言書を作成して遺産の分け方を示しておくこともできます。また、事前に家族の中でも話し合い、財産についてどのように引き継いでいくのかを考えておくのも良いかもしれません。
また、分けることが困難と考えられる状況の不動産を生前に売却や、資産の組替えにより分割をしやすいようにしておく必要があります。

2. 納税資金の準備

相続税の納税は、申告期限まで(相続の開始から10か月)に現金で一括で支払うことが原則です。そのため、納税のための現金を生前に確保しておく必要があります。そうでない場合は、相続人が相続人自身の財産をもとに税金を支払うこととなり、相続人の負担が多大なものとなる恐れがあるからです。
不動産など売却するものが財産であるからといって大丈夫というわけでもありません。慌てての資金調達となると、思ったような金額で売却ができないことも多くあります。
そのため、納税資金の準備には、生命保険金の活用や生前に遊休不動産の売却など財産を整理することで対策を進めることができます。

3. 相続税の税額を減らすための対策

1つ目は、法定相続人を増やすことが考えられます。つまり、養子縁組を行うことです。
養子縁組で、法定相続人は実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人となり、その分だけ基礎控除額や、死亡保険金や退職金などの非課税枠を増やすことができます。

しかしながら、養子縁組については、親族間で心情が異なるため、事前に親族で話し合いを重ねていく必要があります。

2つ目は、課税される遺産総額を下げることが考えられます。
この対策には、財産が直接減っていく方法と、特例などの活用で減らす方法があります。
高齢化が進む中で、介護など必要となってくるケースもあり、その負担も無視できない状況では、簡単に手持ちのお金を減らすことも不安になってくることでしょう。そのため、将来の状況を予測しながら、その対策を行うか検討する必要があります。

3.1. 1つ目の特例などの活用をした場合

小規模宅地等の特例を適用する

自宅の敷地について、もしくは事業用の土地について特例を適用することができれば、相続税の課税財産の金額を抑えることができます。特例の適用の要件があるため、要件を満たしているのかを、生前に確認をしておくことで対策をとることができます。

広い土地を所有している場合は、土地の評価において「広大地」となるか確認する

広大地とみなされる土地かどうかについては、不動産鑑定士など専門家の意見が必要となってくるため、生前にその適用ができるかどうかも知っておくことは、対策の一つと言えます。

生命保険への加入をして、非課税枠を利用する

現金や預金は、そのまま相続財産となった場合に非課税となる部分はありません。しかし生命保険の死亡保険金については、非課税枠が500万円×法定相続人 という部分があるため、預金に代わる相続財産として活用することができます。
また、生命保険の死亡保険金は、受け取る人を指定することができるため、財産を残したい、引き継がせたいと考える特定の人へ財産を引き継ぐことができます。
そして、保険金は現金で受け取ることができるため、納税資金の準備をすることもできます。

不動産への投資

現金で財産を保持していくことよりも、不動産への投資を行うことで、固定資産税評価額をもとに評価される不動産に財産を組替えることで、評価額は下がり、節税対策となります。

居住用不動産を配偶者へ贈与する(相法21の6)

婚姻期間が20年以上の夫婦間であること、配偶者が自ら住むための国内の居住用の不動産であること、または居住用不動産を購入するための金銭であることなどの要件があります。

3.2. 2つ目の実際に贈与などで財産の額を減らしていく方法

暦年贈与の基礎控除額は110万円と多額の財産を持っている人からは少なく感じるかもしれません。しかし、毎年一人に110万円の贈与を行えば、10年で1,100万円、20年で2,200万円の財産を非課税で贈与することができます。また、贈与する相手を子どもだけではなく、孫や子どもの配偶者などに増やせば、その分だけ非課税で財産を渡すことができるのです。そのためには、比較的時間をかけて対策をとることができる場合に有用な方法と考えられます。

現金の贈与など
  1. 暦年贈与
  2. 相続時精算課税贈与
  3. 住宅取得等資金贈与
  4. 教育資金一括贈与
  5. 結婚・子育て資金一括贈与

なお、これらの贈与は、手元からお金が減っていく対策であるため、老後の必要資金を確保したうえで行うことが大切です。

1. 暦年贈与
贈与する財産 何でもOK
贈与する人 誰でも可能
もらう人 何歳でも、誰でも可能
非課税限度額 110万円
適用期限 なし
メリット どのような財産でも贈与可能
デメリット 税率が、超過累進税率のため、まとまった金額の贈与には不向き
2. 相続時精算課税贈与
贈与する財産 何でもOK
贈与する人 父母又は祖父母(1月1日現在60歳以上)
もらう人 1月1日現在20歳以上の直系卑属(子、孫)
非課税限度額 2,500万円
適用期限 なし
メリット
  • まとまった金額を贈与しやすい。
  • どのような財産でも贈与可能
  • 贈与した時点で相続時点の評価額が決まるため、価値の上昇が見込まれる財産には効果がある
デメリット
  • 一度選択したら、暦年贈与に戻せない
  • 年間110万円以下であっても、毎年申告が必要となる
  • 非課税限度額を超えたら、20%の税率で納税が必要
3. 住宅取得等資金贈与
贈与する財産 資金のみ
贈与する人 もらう人の直系尊属
もらう人 1月1日現在20歳以上の直系卑属
贈与を受けた年分の所得に制限がある
非課税限度額 300万円~3,000万円
適用期限 平成33年12月31日まで
メリット
  • まとまった金額を贈与しやすい
デメリット
  • まとまった資金が必要
4. 教育資金一括贈与
贈与する財産 資金のみ
贈与する人 もらう人の直系尊属
もらう人 30歳未満の直系卑属
非課税限度額 1,500万円(塾等500万円)
適用期限 平成31年3月31日までの拠出
メリット
  • まとまった金額を贈与しやすい
デメリット
  • まとまった資金が必要
  • 資金の使用制限があるため、資金の引き出しが面倒
5. 結婚・子育て資金一括贈与
贈与する財産 資金のみ
贈与する人 もらう人の直系尊属
もらう人 20歳以上50歳未満の直系卑属
非課税限度額 1,000万円(結婚300万円)
適用期限 平成31年3月31日までの拠出
メリット
  • 教育資金よりも資金の使用の用途が広いため、短期で使い切りが可能
デメリット
  • まとまった資金が必要
  • 贈与後資金を使い切る前に贈与した人が亡くなった場合には、相続財産になってしまう

4. 認知症となった場合への備え

認知症の症状が出て、物事に対して適切な判断が下せない状況となってしまった場合には、非常に多くの問題が生じます。法的な行為が一切無効となってしまうのです。 認知症と診断されてからでは、まったく手の施しようがありません。

そのため、認知症への備えとして、信託の活用や遺言書の作成が挙げられます。 信託とは、「誰かを信じて自分の財産を託す。」ことです。今、非常に注目を浴びているものが、家族信託です。この仕組みは、「財産の所有権のうち、管理をする権利だけを信頼できる相手に移す」ものです。信託は、認知症が進んでしまった場合にも自分の意思を生かすことのできる手法です。

家族信託を始めるのも、適切な判断が下せる状態の時までです。認知症となってしまってからでは、もう手遅れといわれるのです。 そのため、少しでも早く、健在なときこそ対策を検討してみてはいかがでしょうか。

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