相続税申告

身近な人が亡くなったときには行う手続きが多くあります。
葬儀の手配、役所への死亡届、金融機関での名義変更、日常生活での電気、ガス、水道などの引落口座の変更など。悲しみの中でも、多くの手続きを進めていかなくてはなりません。

そして、心配になってくるのは相続税のこと。
相続税はかかるのだろうか、そのためには何をしていったらいいのか。
相続税の申告は、一部の資産家が行うものという認識から、平成27年の税制改正による基礎控除の引下げにより対象となる方も増えてきたこの頃です。

まずは、自分が相続税の申告が必要となるのか、また必要となった場合の納税額はいくらになるのかを把握する必要があります。

相続税の申告はだれが行うものなのか

死亡した人から相続や、遺贈(死因贈与も含む)によって死亡した人の持っていた財産を取得した人が相続税の申告を行う必要があります。ただし、その取得した財産を合計した額が、遺産に係る基礎控除額を下回る場合には、相続税の申告をする必要はありません。

遺産に係る基礎控除額とは…
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

例)法定相続人が、3人の場合には
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円 となります。

≪注意!≫特例を適用する場合は、申告の必要があります。

小規模宅地等の特例又は、配偶者の税額軽減などを適用することによって課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を下回る場合には、相続税申告書の提出が必要です。

どうやって相続税の申告をするのか

相続税の申告書の提出は、期限があります。
相続税申告書の提出期限は、相続の開始があったことを知った日(通常の場合は死亡の日)の翌日から10か月目の日です。

相続税の申告書の提出先は、死亡した人の、死亡の時における住所地を所轄する税務署長宛に提出します。

共同で提出します。
通常納税の申告書は、所得税の申告書のように1人1通提出するのが原則ですが、相続税の申告書は、相続人全員が1つの申告書に連名で提出します。しかし、これらの相続人の間で連絡が取れない場合やその他の事由で申告書を共同で作成して提出することができない場合は、別々に申告書を提出することもできます。

相続税の納付はどのようにするのか

納付には、申告書の提出期限と同様に期限があります。

原則として、相続税は提出期限までに金銭で納付をする必要があります。すなわち、現金での納付が必要となるため、事前に納税資金の確保が必要です。
ただし、相続税については、特例として一定の要件を満たしている場合には、延納(相続税を年譜により分割納付)と物納(相続財産で納付)ができます。

相続税申告の期限までに行うこととは

  • 故人(被相続人)の遺産の把握(すべての財産、債務を確認)
  • 遺言書の有無の確認→公正証書遺言、自筆の場合
  • 相続人の確認
  • 相続放棄、限定承認の手続き
  • 所得税の準確定申告
  • 遺産分割協議
  • 相続税の申告書の作成、提出、納税

故人の遺産の把握

財産は、被相続人が死亡した時点で持っていた財産である不動産や金融商品などの財産、貴金属、宝石、書画骨董、預貯金、現金などの全ての財産のことです。なお、日本国内にあるこれらの財産のほかに、日本国外にある財産も対象となります。また、被相続人の死亡により受け取った死亡保険金、死亡退職金、生命保険契約に関する権利も該当します。

債務は、被相続人の生前の借入金や未払金などがあります。

いったん、すべての財産と債務を把握することは、遺された財産をしっかりと引き継いでいくために、必要なことです。

遺言書の有無の確認

遺言書が作成されていたのかを確認する必要があります。

遺言書には、公証役場にて作成した①公正証書遺言のほか、自筆で書いた②自筆遺言があります。①公正証書遺言の場合はそのまま使用することができます。②自筆遺言書の場合は、家庭裁判所での検認の手続きが必要となってきます。

なお、相続人全員の合意があれば、遺言と異なる遺産分割を行うことができます。

相続人の確認

遺産分割協議は相続人全員による協議となります。そのため、まずすべての相続人を、確定しなくてはなりません。被相続人の「出生から死亡までの戸籍謄本」等を取得する必要があります。

相続放棄、限定承認の手続き

相続放棄の手続きには期限があります。放棄をする場合には注意が必要です。

所得税の準確定申告

被相続人の前年の所得に対してと、亡くなったその年の1月1日から、亡くなるまでの期間の所得に対しての所得税について、期限までに申告を行います。

期限は、相続開始の日から4か月以内です。

遺産分割協議

被相続人の遺産について、相続人によって、分け方を協議します。

分割が決定したら、相続税の申告書へ反映をします。

≪注意!≫

故人の遺志を反映した分割や、ご家族の状況などにより分割を検討されるかと思われます。しかし、遺産の分割の仕方によっては、相続税の納付する税額が大きく変わってきます。また、今回の相続税額が少なくなった場合でも、今後発生すると考えられる相続との関係も検討して、分割を税務の面から考えていくことも必要です。専門の知識を備えた税理士への相談もおすすめです。

相続税の申告書の作成、申告、納税

相続税申告書の作成方法

財産をだれがどれだけ取得したのかを反映して、申告書を作成します。

財産は、原則として時価にて評価をすることとなっています。たとえば現金のように、そのままの金額で評価されるものもあれば、売却などを実際に行わないと分からない土地や家屋などの場合には、公平性の観点からも時価ではなく、相続税法や国税庁の通達に従った評価額をもとにして、評価を行います。

相続税が課税される財産

  • 被相続人が相続開始時点で所有していた財産(民法上の財産)
  • 被相続人の死亡によって支払われる生命保険金、退職手当金(みなし財産)
  • 相続開始前3年以内に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産

⇒主な財産の評価方法についてはこちら

課税されない財産

  • 生命保険金のうち一定額
  • 退職手当金のうち一定額

墓地、仏壇

  • 墓地等(墓地、仏壇、仏具など)日常礼拝に用いるもの

純金の仏具など、一部投資として購入して所有しているものは、課税対象となります。

控除される金額

差し引くことができる債務は、借入金、未払金のほかに被相続人が納めなくてはならなかった国税、地方税などでまだ納めていなかったものも含まれます。

被相続人の葬式の費用

特例など

  • 小規模宅地等の特例

相続税額から控除できるもの

  1. 暦年課税分の贈与税額控除
    生前贈与加算の対象となった贈与財産に、贈与税と相続税の二重課税を避けるために設けられています。
  2. 配偶者の税額軽減
    配偶者の生活保障のため、および夫婦で財産を形成してきたことを考慮して設けられました。
  3. 未成年者控除
    子供が幼くして親が死亡することにより、子供が一人前になるまでにかかる養育費や生活費を確保するために設けられています。
  4. 障害者控除
    相続や遺贈により財産を取得した障害を持つ人の場合、生活費などの確保が健常者より困難になることも予想されることから設けられています。
  5. 相次相続控除
    相次いで相続が発生した場合に、それぞれの相続に対して相続税を支払う必要があります。しかし、これでは納税者の負担が重くなるため、少しでも納税者の負担を軽減しようとするために設けられています。
  6. 外国税額控除
    外国にある財産を取得した場合に、関係する規定であり、国際間における二重課税を調整するために設けられています。

〈ポイント〉未成年者控除や障碍者控除の控除しきれない金額を他の相続人である扶養義務者から控除することで、相続税を節税することができます。

納付税額の計算

  • 相続又は遺贈により
    取得した財産
  • みなし相続等により
    取得した財産
  • 非課税
    財産
  • 相続時精算
    課税適用財産
  • 債務
    葬式費用
  • 相続開始
    3年以内の贈与財産
  • 各人の
    課税価格
  • 各人の
    課税価格の合計
  • 相続税の
    総額
  • 各人の
    あん分割合
  • 各人の
    税額
  • 各人の税額
  • 贈与税額控除
  • 配偶者の税額軽減
  • 未成年控除
  • 障害者控除
  • 相次相続控除
  • 外国税額控除
  • 納付する相続税額